今日最も注目を集めた一番は、大の里ー王鵬に違いない。
大の里が過去3勝2敗と勝ち越しているが、ここ2場所は王鵬が勝っている。 対戦前の私の予想は、大の里が勝つとすれば、右を差し体を密着させて前に出る相撲、王鵬が勝つとすれば、激しく突っ張ったり頭で当たったりして大の里に右差しを許さない、というもの。 両者が土俵に上がり、立ち合い直前の仕切りを見て、私は大の里が勝つのではないかと思った。土俵に拳を付けるまでの流れにおいて一切迷った様子を見せなかったからだ。ただし、勝ち方は予想と違った。右を差そうとする動きはあったものの、右差しにこだわることなく突き押しで決着をつけた。綱取りに向けて勢いが付く白星だ。 取組後のインタビューで大の里は「初日から体の動きがいい。上体を起こさないように、しっかり考えて相撲を取った」と語った。昨日王鵬に敗れた豊昇龍、今日の相手は直近3連敗中の阿炎。
豊昇龍は立ち遅れたうえに足が出ていなかったため阿炎にもろ手で先手を取られ、焦って押し返そうとしたところを引き落とされた。 取組後のインタビューで阿炎は「横綱は自分の動きを見極めてから対応しようとしたのだと思う」と語っていた。私の分析はそれとは異なる。 阿炎の立ち合いのタイミングは絶妙だった。先に両手を土俵に付き、豊昇龍が両手を下ろし始めた瞬間にチャージを始めた。豊昇龍があの状態から手を止めて「待った」をすることは不可能だ。たとえ後れを取っても手を付いて立つしかない。豊昇龍はインタビューを拒否したためなぜ立ち遅れたのか真相はわからないが、立ち合いに迷いがあったことは想像できる。今日の大の里とは対照的だ。次は、私が個人的に楽しみにしていた一番、尊富士ー若隆景。尊富士の立ち合いの強い当たりと鋭い出足を若隆景は止められるのか?
動画の51秒あたり、お互いが当たる瞬間、若隆景の構えを見てほしい。若隆景は左脚をしっかりと前に出し膝がしっかりと曲がって重心が下りていて上体の角度もいいのがわかる。脇も締まっている。若隆景は右を差したい、尊富士は左を差したい、素晴らしい立ち合いで若隆景が差し手争いを制し、先に自分の形を作ることに成功した。 尊富士は左の上手を狙ったわけではなく、そうするしか選択肢がなかったのであろう。
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