今場所、相撲ファンが一番注目しているのは大の里の綱取りであろう。
初日の対戦相手は若元春。 過去の対戦成績は4-2とリードしているものの、内容を見ると大の里にとって危険な相手。 けんか四つであり、大の里が差し負ける展開も多かったために苦戦を強いられた。 左四つの相手に差し負けないこと、そして差し負けたときの対応力は、大の里が横綱になるための課題。 したがって今日の一番は重要な意味を持っていた。
大の里の作戦は明確だった。 差し手争いをすることよりも前に出て圧力をかけることを優先し、もろ手突きの立ち合いを選択した。 前に出て圧力を掛けながら相手の上体を起こして下から掬うように右を差す、非常に良い流れだったと思う。先場所、新横綱としての場所が途中休場という結果になってしまった豊昇龍。
初日の対戦相手は若隆景。 直近3連勝中とはいえ過去の対戦成績は6-6のタイ。 大の里同様、緊張するシチュエーションで難敵を迎えることになった。
実は、豊昇龍は今場所前に若隆景と11番の稽古を行っていて、結果は豊昇龍の7勝4敗で、その内容はほとんど豊昇龍が右ののど輪で若隆景の上体を起こして攻める、という内容だったと伝えられている。 そして本場所の土俵でも同様の内容となった。豊昇龍は場所前の稽古で手応えをつかんでいたのであろう。綱取りから一転、大関とは思えないような酷い内容の悪夢のような場所が続いた琴櫻は復活なるのか? 初日の相手は王鵬。王鵬は先場所負け越して関脇から平幕に陥落したものの、着実に地力をつけているのは衆目の一致するところ。
館内を沸かせる熱戦となった。 琴櫻の立ち合いは非常に良かった。その後も右手で相手ののどを、左手で脇の下を押しながら2歩目3歩目と足が前に出ていて良い流れだった。 ただ、①相手がそののまま押し出せる相手かどうかの見極めが甘かった。②突き押しはあくまでも相手の上体を起こすことによって右を差しやすくするために使うべきだった。③左四つになってしまった。④巻替えが正直すぎた。王鵬は完全に予想していた。巻替える前に相手の重心を崩す動きやフェイントが欲しかった。取組後のインタビューで王鵬は「我慢が出来た」「自分のほうが体勢が低かった」と勝因を述べた。
今日の琴櫻は敗れたものの、直近2場所で見せたような脆い負け方ではなかったので落胆するのはまだ早い。
先場所新入幕で11勝を挙げ敢闘賞を獲得した安青錦。
私は以前から彼に注目し期待していたものの、先場所の活躍は私の予想を大きく超えるものだった。
今日の相撲は先場所における私の予想がなぜそこまで高くなかったかを裏付ける内容となった。
先場所は、このような取り組みがもっと多くなるのではないかと予想していたのである。今日の安青錦は金峰山の突きで上体を起こされてしまい、なすすべなく敗れてしまった。
ただ、このような相撲が何日も続くとは思えない。
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